皆様こんにちは
蓬田でございます!
今日も「愛国の歌」を、皆様とご一緒に鑑賞してまいりましょう!
今日の歌はこちらです。
皇(おほきみ)は 神(かみ)にしませば
天雲(あまぐも)の 雷(いかづち)のうへに いほりせるかも
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
作者の柿本人麻呂は、万葉集を代表する歌人です。
ただ、伝記はほとんど分かっておりません。
歌人として宮廷に仕え、晩年は石見の国へ地方官として赴き、その地で客死したということくらいです。
歌の意味は
大君は神でいらっしゃるので
大和の雷(いかづち)の丘に、仮の行宮(あんぐう=天皇が住まわれる家)を作ってお住まいになったことよ
「皇(おほきみ)」は、持統天皇だと考えられています。
「しませば」の「し」は、強めの意味。
「ませば」は、「ましませば」のことで、「いらっしゃるから」の意味です。
「天雲(あまぐも)の」は、「雷(いかづち)」にかかる言葉。
「雲が浮かび漂う」という意味から、雷の丘の雄大さを印象づけています。枕詞の機能を果たしています。
「雷(いかづち)」は、飛鳥にある高さ20メートルほどの丘です。
「いほりせる」は、仮の宮を作ることです。
神聖な神としての天皇
この歌は、天皇が雷の丘に行幸されたとき、人麿が作った歌です。
荘厳厳粛な感じの歌です。
天皇を神聖な存在として奉っている気持ちがよく伝わります。
2005年、雷の丘から、5世紀後半の円筒埴輪が出土しました。
奈良文化財研究所は、かつて古墳があった可能性があるとコメントしています。
ほかにも、ここからは7世紀の小型石室が出土。
15世紀頃の山城の堀の跡も見つかっております。
しかしながら、歌で詠まれている庵の跡は見つかっておりません。
奈良文化財研究所によれば、山城をつくったとき、庵跡は削られたのかもしれないとのことです。
考古学的にも、ロマンを感じる歌です。
いかがでしたでしょうか。
今日の一首が、皆様の心に感じるところがあれば幸いです!
※冒頭の絵は、歌川国芳が描いた柿本人麻呂。