「POEM」 一覧

楽譜にある休符 僕はながいあいだ勘違いしていた 休符は「休」という漢字があるので 音を出すことを「休む」のだと思ってた でもひとりで練習してたり バンドで演奏してるとき 休んでしまうと どうも具合がよ …

東に向いている窓から一直線に差し込むオレンジ色の陽が、ダイニングテーブルの上で原稿を書いている俺の手の甲をじわりと温める。 陽はじわじわとしていが、急に力強く熱さを増した。 手元が眩しくなって目をそら …

あれ父ちゃん 虹が 虹が と子らがさけぶ 東の山に立つ 七色の虹 霊迎える日の夕べ 子らと仰ぐ 虹の架け橋 ああ父も母も茜も あの橋を渡り 会いに来ますか

けふのうちに とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ （あめゆじゆとてちてけんじや）   うすあかくいつそう陰惨(いんざん)な雲から みぞれはびち …

カムチャツカの若者がきりんの夢を見ているとき メキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている ニューヨークの少女がほほえみながら寝返りをうつとき ローマの少年は柱頭を染める朝陽にウインクする この地球では …

空の遠さが屋根にふれている ──まじわることなく

また朝が来てぼくは生きていた 夜の間の夢をすっかり忘れてぼくは見た 柿の木の裸の枝が風にゆれ 首輪のない犬が日だまりに寝そべっているのを 百年前ぼくはここにいなかった 百年後ぼくはここにいないだろう …

朝がくると　とび起きて ぼくが作ったものでもない 水道で　顔をあらうと ぼくが作ったものでもない 洋服を　きて ぼくが作ったものでもない ごはんを　むしゃむしゃたべる それから　ぼくが作ったものでもな …