皆様こんにちは
蓬田でございます!
今日も「愛国の歌」を、皆様とご一緒に鑑賞してまいりたいと思います!
今日は「愛国の歌」16回目です。
大君(おほきみ)の みことかしこみ
磯(いそ)に触(ふ)り 海原(うのはら)わたる 父母(ちちはは)おきて
丈部造人麻呂(はせつかべのみやつこひとまろ)
「万葉集」に採られている防人の歌です。
防人は、唐や新羅からの侵攻に備えるため、九州に置かれた国境警備兵です。
「境の守り=境守(さかいまもり)」が語原となって、「防(ふせ)ぐ人」とという字が当てられたのだと個人的には思っておりますけれど、どうなのでしょう?
防人の多くは、相模、武蔵、常陸、上総、下総、上野、下野、信濃など東国の農業に従事している壮丁(働き盛りの男子)でした。
東国の男たちは、純朴で戦に強く、質実剛健の気風に満ちていました。
歌の意味は、
大王(おおきみ)の命なれば、畏み承り、船を荒波に触れさせながら大海原を渡り、東国からはるばる九州まで、防人の役目を果たしに参ることよ、父母を故郷に残し置いて
東国から九州までは、まず徒歩で難波(大阪)まで行き、そこから船で瀬戸内海を渡って任地へと向かいました。
この歌は、難波から九州へ向かう船中で詠んだのでしょう。
一旦、防人として任に就けば、生きて再び故郷へ帰ることはないだろうとの覚悟を決めての旅立ちでした。
「万葉集」の選者、大伴家持は、防人の選抜を行っていました。
そのため、防人となる庶民の気持ちをよく理解していたのです
この歌は、大君の命に報いたい心情と、親を思う愛情、その両方が溶け込んだ素晴らしい歌だと思います。
きょうの歌が、皆様の心に感じるところがありましたら幸いです!