皆さんこんにちは
蓬田(よもぎた)でございます!
5月22日、中国・北京の人民大会堂で、全人代(全国人民代表大会)が開幕しました。
コロナの影響で、当初予定されていたスケジュールからおよそ2カ月半遅れての開催です。
驚いたのは、開幕直前、北京の空が真っ暗になったことです。
まるで、全人代の行方、中国の行方を暗示するかのような不気味な天気となったのです!
いま中国とアメリカは、宣戦布告はしていないものの、戦争状態です。
そういう意味で、今回の全人代は注目です!
全人代の内容については、また機会を改めてご紹介したいと思います。
全人代国会に相当しない
さて、きょうは全人代とはどういうものか、少し書いてみたいと思います。
といいますのも、日本のマスコミはしばしば、全人代のことを「国会に相当」という表現をしています。
しかし、これは事実と異なります。
日本などの民主国家の国会と、中国の全人代はどう違うのか?
皆様のご参考になれば幸いです
代表は中国共産党が選んだ人物
全人代は、憲法において、年に1回開催が義務付けられています。
1998年以降は毎年3月5日に開いてきました。会期は10日間です。
全人代と並行して、全国政治協商会議も開催されます。
2つの会議を指して「両会」と呼ばれています。
全人代が国会と異なる点は、まず第一に、参加者の選ばれ方が違います。
民主国家の場合、国会議員は選挙のよって国民から選ばれた人物です。
一方、全人代の場合、参加する代表者は中国共産党が選んだ人物です。
国民は選挙で代表を選ぶことができません。
すでに決まったことを追認
全人代が国会に相当していない第2の理由は、実質的に「立法機関ではない」ことです。
全人代の会期は、例年およそ10日間しかありません。
今年は16日間ありますが、これは“異例の長期日程”です。
この短い日程で、国家主席の選出をはじめ、国務院(行政)、最高人民法院(司法)、国家中央軍事委員会という国家のトップ人事の決定、国家予算の承認、法律の制定、憲法改正まで、国政の最重要事項をこなしてしまいます。
当然、議論をしていてはスケジュール的に間に合いません!
それが可能なのは、会期以前に中国共産党がすでに決定しているからです。
全人代はそれを追認する機関に過ぎません。
実際は、全人代の代表が各案件に対して、投票で賛成・反対の意思表示をします。
近年は反対票、棄権票が増えています。
しか、全人代が形式的なものであることは変わっておりません。
全人代で法律を決めないとなると、どこが決めているのか?
それは全人代常務委員会です。
全人代が開催される10日間以外、常務委員会は全人代に代わって立法機能を行使します。
これは憲法の規定です。
全人代常務委員会の定員は約200名です。全人代代表の中から選ばれます。
現在の委員長は栗戦書(りつせんしょ)。2018年3月からこの職に就いています。
常務委員会が立法機関という意味で国会、委員長が国会議長に相当しているとはいえます。
どうしてマスコミは国会に相当と言うのか?
マスコミは「国会に相当」という表現を使います。
わたくしは不適切だと思います。
マスコミの人たち(特に外報部の人たち)は、全人代が国会に相当しないことを当然知っているはずです。
それでも使い続けるのは、何らかの意図があるのでしょう。
その意図は、国民のミスリードだと思います。
中国も、日本のような民主国家と同じように、選挙で選ばれた代表が議論をする議会が機能している、というイメージです。
でも、現実の姿は異なっています。
皆様の中国に対する理解に、少しでもご参考になれば幸いです