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SPRING WAKA BEST 5 FROM SHINKOKINWAKASHU

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春の歌BEST5 日本人の美意識 新古今和歌集より

近代以降、批判する人もいるようですが
新古今和歌集
しびれます

日本人の美意識が
ここにはたくさんつまっている

今回は新古今から
春の歌BEST5
選んでみた

いい歌 たくさんあるから
苦労しました
でも選ぶのは楽しい
ではどうぞ


風通ふ
寝覚めの袖の
花の香に
かをる枕の
春の夜の夢

俊成卿女

新古今は難しい歌が多い
王朝伝統美の
最終形みたいなものですから
この歌も
現代人にはよく分からない

歌の意味は、
外から風が吹いてくる
目覚めたわたしの袖は
花の香り
枕も花の香り
いままでその枕で
春の夜の夢を見ていたのです

なんですか!
この複雑な詠みぶりは!
そこがいいなと思います
こんな歌を詠みたい


面影の
霞める月ぞ
宿りける
春や昔の
袖の涙に

もうひとつ、これも俊成卿女の歌

歌の成り立ちというのか
構造というのか
複雑すぎて
現代人である俺には
何を詠んでいるのか
はじめはまったく分からなかった

読んでいるうちに
歌の意味に気付くと
しびれてきた

歌の意味は、

霞んで見える月に
あの人の面影
涙に濡れた袖に
その月が映っている
今年の春は
昔の春ではないと
流した涙
昔あの人と見上げた月も
同じ月ではないと
流した涙

歌の内容が複雑すぎて
うまく現代語訳できない

この複雑な世界観を
三十一文字であらわすのは
かっこいい

ちなみにこの歌は
在原業平の歌

月やあらぬ
春や昔の
春ならぬ
我が身ひとつは
もとの身にして

を受けて詠んだ


ほのぼのと
春こそ空に
来にけらし
天の香具山
霞たなびく

後鳥羽院

前のふたつの繊細な歌と比べて
どうでしょう
この堂々とした歌いぶり
しびれます


思いあまり
そなたの空を
ながむれば
霞をわけて
春雨ぞ降る

藤原俊成

ひとつめとふたつめの
歌を詠んだ女性の父親

といっても実父ではない
祖父だったか??
彼女は家の事情で
祖父の養女となった

意味は
思いあまって
あなたが住んでいる空をみやると
立ちこめた霞を
分け入るようにして
春雨が降っている

あんにゅいな雰囲気
これが王朝美


花は散り
その色となく
ながむれば
むなしき空に
春雨ぞ降る

式子内親王

桜の花は散り
どこということなくながめていると
何もない空から
春雨が降ってきた

あんにゅいで物寂しい
これが幽玄ということなのだろうか??

親王が五十歳を過ぎて詠まれた歌
この歌を詠んで一年後に薨去されたらしい

この歌を詠んだときすでに
病気に冒されている自分自身に気付き
あと何年生きられるか
あと何回桜が見られるかわからない
そんな気持ちであったのであろうか

もしそうだとしたら
切ない歌だ

スクー

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