令和五年の迎え盆が終わった。俺の住んでいるところから何百キロも西に台風が来ている。昨夜のニュースでは、新幹線が運休したことを、レポーターが叫ぶような調子で盛んに伝えていた。
朝4時半、クーラーをきかせていたので閉め切った部屋の窓を開けると、むっとする熱気で、思わず顔をそむけた。
庭の地面のほうから秋の虫の音が聞こえる。高いところでは、セミが鳴きだした。
「冷房しているのよ」
さっきまで横で熟睡していた妻が不機嫌そうに言う。
ワインレッドのカーテンを窓にはじで束ねる。
レッド・ガーランドを流す。
水を飲む。
1日が始まり出した。