皆様こんにちは
蓬田でございます!
今日も愛国の歌を、ご一緒に鑑賞してまいりましょう!
今日の歌はこちらです。
さくら花 ちりかひくもれ
老らくの こむといふなる 道まがふがに
在原業平
四十歳になった藤原基経の長命を祝う宴で、業平が披露した歌です。
「古今集」に収められています。
四十歳とか七十歳とか、節目の年齢を祝う和歌は、日本伝統のバースデーソングですね!
ちなみに当時四十歳というのは、老人という認識でした。
歌の意味は
桜の花よ、あたり一面に散り乱れてどこも見えないようにくもらせておくれ
老いがやってくるという道が分からなくなるように
歌の技巧としては、「老いが道に迷う」というように、「老い」を擬人化しています。
業平は、長生きを祝う宴席で、こう詠み上げたのですが、冒頭の「さくら花」は良いにしても、次の「ちりかひくもれ(一面に散り乱れて、どこも見えないようにくもらせておくれ)」というのは、お祝いの席にはふさわしくありません。
宴に集っていた人たちは、これを聞いて戸惑ったことでしょう。
さらに「老らく」という、これまた長命を祝う宴席にふさわしくない言葉が続いたのです。
宴にいる人も、ホスト役の藤原基経自身も、いったいどうなるものかと気をもんだことでしょう。
しかし最後で、一気に逆転。
基経の長生きを祝う歌となりました。
さすが歌の名手業平の面目躍如というところです!
もっとも、長命の宴にふさわしくない言葉が出ても、集まった人たちは「きっと業平のことだから、最後にはうまくまとめるに違いない!?」と、興味津々で聞いたいたのかもしれませんね。
わたくし的には、桜を詠った歌として、抜群の存在感の歌です!
今日の歌が、皆様の心に感じるところがありましたら幸いです!