皆様こんにちは
蓬田でございます!
今日も「愛国の和歌」を、皆様とご一緒に鑑賞してまいりましょう!
今日の歌はこちらです。
ふく風(かぜ)に わが身(み)をなさば
久方(ひさかた)の 月(つき)のあたりに 雲(くも)はあらせじ
三条西季知(さんじょうにしすえとも)
作者の季知(すえとも、上の写真)は、文化八年(1811年)生まれ。
江戸後期から明治にかけての公卿、歌人です。
孝明天皇のもと、中納言として仕えました。
文久三年(1863年)の政変(八月十八日の政変)によって、長州へ降ります。
この歌は、その時の歌です。
詞書に
文久三年故ありて長門の國に下りける時月のあかかりける夜
とあります。
歌の意味は
もし我が身を級戸辺(しなとべ)の風になし得るものなら
好きに吹き払い、天空の月の周囲には一片の雲もあらせはしないものを
「久方の月」は、禁中、天皇のおそばのこと。
「雲」とは、この場合、暗雲妖雲、天皇のおそばにいる奸臣。
政変に際して、長州に降った季知(すえとも)は、今天皇のお側にいる臣下たちは政敵であったのです。
「級戸辺(しなとべ)」は、風の神。
政変によって、長州そして太宰府まで落ち延びた季知(すえとも)ですが、王政復古の大号令によって赦免、権大納言に復帰します。
季知は、和歌を高松公祐(たかまつきんさち、公卿、高松家三代当主)、香川景樹(歌人、桂園派の祖)に師事。
維新後は、明治天皇の歌道師範となり、和歌をもって天皇に仕えました。
明治十三年に亡くなります。享年七十歳。
今日の和歌が、皆様の心に感じるところがありましたら幸いです!