
酢豚と鳥そばを注文した。
美味しかった。懐かしい中国料理の味がした。

店の入り口を入ると、細長いスペースにイスとテーブルが縦に並んでいた。
狭い店なのだと思った。
店の人は誰もいない。しばらくカウンターのあたりのものを見ていて時間を過ごしたが、それでも誰も出てこなかった。
午後2時を回り、昼食の時間帯を過ぎたとはいえ、店をあけていながら誰もいないとはどういうことだろう。不信感がぬぐえなかった。
この店はやめてほかにしようかと妻に言ったら、彼女は今からほかの店にいくのは明らかに億劫そうだった。それは俺も同じだった。
意を決して、と言ったら大げさだが、そんな気持ちも少し感じながら奥に入っていった。
奥は大きな食堂のような雰囲気のスペースだった。厨房から出てきた、バイトらしい女の子がようやく出迎えてくれた。