僕は漢詩が好きである
読むのも好きだが
詠むのはさらに好きで
いささか得意でもある
晩冬の昼下がり
僕のはいつものように
唐詩を読んでいた
ふと読むのをやめ
欄干にもたれかかった
真昼の庭は静まり返り
木々も新芽を吹くにはまだはやい
お尋ねするが
春風はどこにいるのかね
自分自身に問うているような
天地自然に尋ねているような
気持ちを安らかにしていると
僕は春風のいるところがわかったきた
庭には大きな石があり
その前には奥深い竹林
そして石の間には蘭が咲いている
春風は竹林を揺らし
蘭をそよがせ
心地いい音を奏でていた
春風はそんなところにいたのだよ
(令和五年九月十三日)