令和五年9月8日
リュウは米軍基地に近いアパートに住んでいた。
ドラッグ、乱交、酒、音楽。
アパートでは若い男女が昼も夜も入り乱れ、これらのことが彼らの日常のすべてであった。
リュウにはリリーという恋人がいた。
リリーはときどきリュウの目を見る。
そこにはリュウが描く妄想の都市が広がっていた。
リュウは自分が妄想する鳥に怯えていた。
リュウはは鳥を殺すことにした。
そうしないと、自分が鳥に殺されるから。
リュウもリリーもほかの誰もが、みんな不安定だ。
切なくなるほどの、曖昧で不確かな自己意識。
リュウは数年後、基地近くでのこの暮らしを思い出して「限りなく透明に近いブルー」を書いた。
いまでもリュウはは変わっていない。