皆様こんにちは
蓬田でございます。
今日も愛国の歌をご一緒に鑑賞してまいりましょう!
今日の歌はこちらです。
昔おもふ 草の庵(いほり)の 夜の雨に
涙なそへそ 山ほととぎす
藤原俊成
新古今集に収められている歌です。
藤原俊成は、新古今時代の和歌を指導した歌人であり理論家でした。
俊成が高く評価した歌は、「幽玄」というものでした。
幽玄とは、ごく簡単にいえば深き余韻です。
歌の意味は
昔のことをしみじみと思い出し、山中の粗末な庵は夜の雨に濡れ、わたしも涙に暮れている
悲しげな声で泣いて、これ以上涙を添えてくれるな、山ホトトギスよ
山の粗末な庵にいて、昔のきらびやかな都の生活を偲んでいる歌です。
しかしながら、俊成は都に住んでおり、自分が山中のそまつな庵に住んでいるものと空想して、昔の華やかな生活を思い出しているという趣向です。
この歌は、白楽天の詩から想を得て歌われています。
その詩とは
蘭省(らんせい)の花(はな)の時(とき)の錦帳(きんちょう)の下(もと)
廬山(ろざん)の雨(あめ)の夜(よ)の草庵(そうあん)の中(うち)
意味は
宮中の尚書館では花の時を迎え、君たちは錦の帳をめぐらした華やかな場所にいる
一方、自分は廬山の草庵でひとり雨の夜を過ごしている
華やかな宮中にいる友人たちと、草庵でひとり雨の夜を過ごす自分とを対比させています。
俊成は華やかな宮中にいたかつての自分と、いまは寂しい山中の庵住まいである現在の自分(空想ですけれど)とを対比させました。
今日の歌が、皆様の心に感じるところがありましたら幸いです!