YOMO-FICTION

死への恐怖

投稿日:


人間には死に対する恐怖が、あらかじめプログラミングされているんじゃないかな。
死に対する恐怖なんて当たり前じゃないか、と思っているかもしれないが、考えてごらん。
もしも、死が楽しいものなら、人間は短時間のうちに絶滅してしまう。

俺は、家でネズミが死んでいるのを見たとき、気が狂いそうになるほど気持ち悪かった。
でもネズミの死体を処理しないといけないから、何とかやったけれど、2、3日は鼓動が収まらなかった。

カラスの死体を処理したときも大変だった。
家の前の道路に、カラスが死んでいた。
そのままにしておくわけにはいかないから、処理したよ。
カラスは意外と重いんだ。
空を飛んでいる姿しかイメージできないから、何となく軽いものだと思っていたんだろう。
ところが死体を袋に入れて持ってみると、ずっしりしていた。
その重さを思い出すと、いまでも気持ち悪くなる。

大昔だが、JR高円寺駅で人身事故があった。JRがまだ国鉄と呼ばれていたころかもしれない。
事故の直後、俺はたまたまホームにいた。
電車の運行は止まり、多くの人がホームにいた。
事故の様子を見ようとする野次馬がたくさんいて、雑然とした雰囲気だった。
俺は、ホームから何気なく線路を見たんだ。
すると、切断された人間の足があった。
肌が白くて滑らかで、枕木の上に置かれている、という感じだった。
不思議と気持ち悪くなかった。
2、3秒見てすぐにその場を立ち去ったんだけど、また見たくなって戻ったら、もうブルーシートが掛けられていた。
俺はこう思った。
死体はパーツになると気持ち悪くないのだよと。

スクー

-YOMO-FICTION

Copyright© R&BオヤジYOMOの談話室 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.