令和五年9月7日

伊豆、天城を越えてきた高等学校の学生、私は、茶屋で偶然に踊子一行に会う。

私は踊子に惹かれ、踊子も私に好意を寄せる。

しかし、私たちは結ばれることはない。

作者川端も、私たちを結ばせようという気持ちはない。

私は踊子に惹かれるが、恋人にする気持ちは露ほどもない。

踊子も幼いなりに自分が社会の底辺で生きる人種であり、将来、日本の超エリートの道を歩むであろう学生と結ばれることは望んでいない。

伊豆の自然の情景描写が美しく、私と踊子との純真で無垢な、伊勢物語にある竹井筒の男女のような心の交流が描かれているので、見逃しがちだが、川端の目は、社会の底辺に生きる人間たち=踊子たちの考え、思い、行動に焦点が当てられている。

大正十一年から書き始め、十五年完結。