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SURIBACHIYAMA ANCIENT MOUND

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@UENO PARK, TOKYO

摺鉢山古墳@上野公園

(以下の文章は、写真をもとにしたフィクションです)

令和五年夏、午前、もう夏の太陽光が照り付ける時間に、上野公園にある摺鉢山古墳に着いた。

京成線にのり、終点の上野駅で降りて地上に上がり、西郷隆盛の銅像のわきをとおって、ここまで来た。

上野公園に1日何人の人が訪れるのか、年間何人の人が訪れるのか知らないが、ここに弥生時代の古墳があるのを認めている人は恐らく1000人にひとりくらいだろう。

前方公園墳である。現存で全長70メートル。円形部分は小山状になっていて、階段がつくられ上に登れる。

上は平らで周囲にベンチがしつらえてある。4、5人の男が休んでいる。ひとりは作業服を着ている。近くの工事現場で作業している人だろう。もうひとりは白いワイシャツを着た若い会社員といった感じ。膝の上にパソコンを開いて、熱心に仕事を進めっているようだ。

あとの2、3人は60歳代とおぼしき男たち。身なりはきちんとしているが、どことなく、定住してなく、一日中公園で時間を過ごす人たちに見える。

いま、浮浪者とそうでない人との区別は、外見ではとてもつきにくい。あるとき、同じく上野公園の敷地内で、あるキリスト教団体が炊き出しを行っていた。

炊き出しには、いかにもそれらしい格好の男たちが並んでいた。炊き出しの一群からはずれて、立ち話している2、3人の男たちがいた。みな、きれいな靴を履き、清潔でスタイリッシュなパンツをかき、今風のジャケットを着ていた。伝統ある上場企業の社員が休日、カジュアルな恰好で出かけてきたイメージだ。

教会関係者か、公園管理の関係者か、あるいは炊き出しとは関係ない人だと思っていたが、彼らがどこどこの炊き出しはいいものがでるとか、炊き出しの情報交換を行っているのが聞こえて、彼ら自身も炊き出しの食事が目的なのをしって愕然とした。

話を古墳に戻す。円形状の平らな土地に立って、この下には古代の王様が眠っていることに思いをはせると、地面から何かの気が湧いてくるようだ。日本にはたくさんの古墳があるが、こんなに気軽に古墳の上を歩き回れるのはここしかないだろう。

この丘状の場所はかつて、五條天神があった。いまは上野公園内の別の場所に鎮座している。主祭神は薬の神様だが、天神という名のとおり、菅原道真もお祀りされている。

上野公園自体が山だが、そこに山状の古墳が作られた。当時、この古墳の上からは、いまの東京一帯が一望に見渡せたことだろう。

スクー

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