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歴博「もののけの夏」展 江戸文化から妖怪をひもとく

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毎年夏になると博物館、美術館などでは妖怪をテーマにした企画展を行う

企画展には大きくふたつの系統がある
ひとつは美術史的なアプローチ
もうひとつは民俗学的なアプローチ

このもののけの夏は美術史的なアプローチから企画されている

会場に展示されている浮世絵や絵巻は
保存状態がとてもいい
色がとても綺麗だ

展示は見応えある
企画展示室という大きな会場ではないが、個々の作品が小さいので、たくさんの作品が展示されている
大きな展覧会場であちこち歩き回らなければならないより、こういうコンパクトな会場のほうが、歩く距離が短いので疲れなくていい
ただし多くの作品を見て回るのは、集中力を持続させなければならず疲れる
肉体的な疲労は少ないけれど、アタマが疲れるって感じ??

展示は、学術的な構成という面も感じた
解説文を良く読んでみて
ようやく展示の内容が分かったというところもある
歴博という、どちらかというと美術より学術的な機関が企画・主催しているということも関係しているんだろう

会場構成
第1章 妖怪研究の流行
第2章 遊びの中の怪異
第3章 歌舞伎の中の怪異
第4章 盛り場の怪談
第5章 武者絵の中の妖怪たち
第6章 幕末世相風刺と百鬼夜行

一番興味深かったのは第6章
幕末、風刺画が人気となったが、直接的な政治や世相の風刺は禁止されていた
そこで絵師たちは、風刺画の中に妖怪を登場させる
それらの妖怪たちは「百鬼夜行」と呼ばれ
絵が攘夷の風潮や、戊辰戦争を示唆する役割を果たした
妖怪が絵が風刺画であることを示唆する「コード」としての役割を果たしてのである

こう書いても、この文章を読まれた方は、何を言っているのかよく分からないだろう
会場の展示作品と解説文を慎重によく読んで初めて分かる
こういう面白いことが派手な演出ではなく
地味に展示してあるところが
この展覧会の特徴をよく表しているような気がした

展覧会概要
名称:もののけの夏―江戸文化の中の幽霊・妖怪―
会場:2019年7月30日(火)~9月8日(日)
会期:国立歴史民俗博物館 企画展示室B

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