
東京都現代美術館の吹き抜け空間(アトリウム)に、ポータブルレコードプレーヤーを使った作品《without records – mot ver.2015》が展示されていた。
プレーヤーは、金属、プラスチック、ゴムなどを使って加工されている。
音源はレコードではなく、プレーヤーそのものが発するノイズやリズムだ。

(東京都立博物館・美術館収蔵品検索より)
大友良英+青山泰知+伊藤隆之によるインスタレーション《without records – mot ver. 2015》は、タイトルが物語るようにレコードは存在せず、プレーヤーそのものが発する個性豊かな音が音源となっています。
コンピューターによってオン・オフがコントロールされた個々のプレーヤーには、展示に先立って実施されたワークショップにおいて、それぞれ金属やプラスチック、ゴムなどの素材を用いて様々な加工が施され、そこから発せられる多層的な共鳴音が、森のような展示空間を満たしています。
大友良英(1959-)は、演奏家、作曲家として80年代よりアンダーグラウンドな音楽シーンで活躍を続けるとともに、近年は映画やドラマ音楽の分野でも才能を発揮しています。
個々のプレーヤーによって生み出される音が主役の本作品は、再生される毎に組み合わせが変化し、二度と同じ「曲」が再現されることはありません。
まさに、大友が共作者である青山泰知(美術家)、伊藤隆之(プログラマー)とともに、「ノイズ/即興/アンサンブル」をコンセプトに創り上げた、「今現在の音楽」と言えるでしょう。
《without records》は、これまでにも各地で展示が行われてきましたが、本作は、当館のコレクションのために新たに制作されたものです。
制作年 2005/2015
材質・技法 ポータブルレコードプレイヤー100台、スタンド100台、コンピュータ1台
寸法 インスタレーションサイズ可変
受入区分 購入
受入年度 2014