2025/11/23

六本木ヒルズに行き、52階の展示場で開催されていた「マチュピチュ展」を見た。

まずは展示の様子を見て頂きたい。会場で撮影した写真を掲載した。この展覧会は写真撮影OKである。展示は素晴らしいものであった。

展示品は素晴らしい。その一方で、私が見た経験からアドバイスすると、見に行く人は気を付けたほうがいいところがある。

展覧会名称は「マチュピチュ展」なので、マチュピチュについての展示品がみられると思っていくだろう。

ところが、マチュピチュの展示品はほとんどない。

わたしも会場内の展示品をくまなく見たわけではないので断定はできないが、印象に残ったマチュピチュの展示は、マチュピチュの天空都市を空撮した美しい映像だけだ。これは素晴らしい映像で見ごたえがある。

何が展示されているかというと、

紀元前からインカ帝国消滅までのアンデスの精神世界に関する造形物だ。

展覧会名称を展示内容に即せば、「マチュピチュ展」でなくて「アンデス展」となる。

どうして主催者は「マチュピチュ展」にしたかといえば、「アンデス」より「マチュピチュ」のほうが訴求力のある言葉だったからに違いない。

「マチュピチュ」と聞けば、高い山の頂上に作られた広大な街の廃墟をほとんどの人が思い浮かべるだろう。

澄んだ青空のもと高山のいただきに作られ、いまは廃墟となった街のビジュアルは、見た人を二度と忘れさせない。

展覧会の主催者はNEONという企業の日本法人である。

NEONは体験型のエンターテインメントコンテンツを企画・制作する外国企業で、これまでディズニーなどと提携し、80都市以上で展開してきた。同時に、今回のマチュピチュ展のような文化財を活用した展覧会も企画し開催している。

展覧会の演出は、出品物の歴史的背景や学術的説明よりも、会場は照明を落として幻想的な空間を作ったり、創作したストーリーに沿った展示をしたりと、エンターテインメントを重視したものになっている。

幻想的な雰囲気のなか、本物の貴重な文化財を見て楽しみたいというタイプの人にとっては楽しめる展示だ。

一方、展示物の歴史的背景や位置づけを知りたいというタイプの人にとっては、わかりにくい面ががあり、それは自分で解決しないといけない。

☆   ☆

前置きが長くなってしまった。本題に入ろう。

今回のマチュピチュ展でたくさん出品されていたのは、

モチェ文明の造形物だった。

モチェ文明とはペルーの首都マリの北部一帯、太平洋岸に沿った帯状地帯に、西暦100年から800年ごろまで存在した都市連合における文化だ。

海岸は乾燥地帯、内陸に入るとすぐにアンデス山麓の西斜面が迫っている地形の河川流域において発展した。

太平洋岸は雨はほとんど降らず、年間降水量は数十ミリという。しかし、アンデス山脈から流れてくる川水によって灌漑農地を開き、都市がつくられた。

モチェ文明は複数の川(モチェ川、チカマ川など)にあった複数都市の複合体で栄えた。人口は全体で30万人程度と推定される。

モチェ文明は徐々に衰退し、800年ごろ崩壊した。

その原因はいろいろな要因が複合されたものだ。 

まず気候変動がある。豪雨、洪水により灌漑水路が破壊され、その後の長期干ばつによって農作物が収穫できなくなった。

モチェの支配者は、神とつながり雨を呼ぶ存在であった。干ばつが続くと支配者としての権威、正統性が失墜した。

支配者による統合が失われると、内部での争乱、分裂が進んだ。

アンデス高地にあるワリ王国が力を付け、モチェ文明圏にも軍事的・文化的影響を与えるようになった。

モチェ文明圏内で、ワリ文化の陶器、建築の影響が広がり、モチェの伝統、文化は吸収、置換されていき、伝統が衰退した。

つまり、

自然災害

支配者の権威失墜

社会の内部分裂

政治崩壊

外来文化の浸透

伝統の喪失

文明の崩壊

ということが起こったのだ。

これを見て、既視感を覚える人は多いのではないだろうか。

そう、今の日本の姿が重なる。

天皇陛下は支配者ではないが、国民の幸福を祈り、国民統合の象徴として、多くの国民がお慕い申し上げている。

天皇陛下の存在は、日本の国体そのものと言っても過言ではない。

社会の内部分裂の面では、社会における少数者の権利を必要以上に主張し、社会の分断させようとしている人たちがいる。

もっとも主張している人たちも、いいことだと思って活動しているのであって、日本社会を分断させようと意識している人はごく少数であろう。そこがまた問題である。

外来文化の浸透でいえば、ここ数年の外国人移民の問題がある。日本政府は移民政策はとっていないというが、住宅地で外国人の家族やコミュニティをいまほど多くみることはかつてなく、明らかな移民政策といえるだろう。

少数の外国人が日本で暮らすことは問題とはしないが、日本の伝統文化に従わずに生活する外国人が増え、コミュニティを作ることは問題である。

日本人のなかには、彼らと共存するべきだという意見を持つ人がいるが、共存の先にあるのは、

日本の伝統文化の喪失であり、日本文明の崩壊につながる。

わたしは、マチュピチュ展を見て、日本文明の崩壊に思いが至ったことに驚いた。

その一方で歴史を学ぶことの重要さも改めて思った。