2025/02/27
M&C・蓬田修一
世界には今も共産党が一党で国を治めている国があります。アジアでは、中国とベトナムがその代表です。どちらも「共産党政権」と聞くと、同じような政治をしているように感じるかもしれません。しかし、実際に見ていくと、考え方や国際社会でのふるまいには、かなり大きな違いがあります。
① 共通点:一党支配と「社会をよくする」という考え方
まず共通点から見てみましょう。
中国共産党もベトナム共産党も、複数の政党が政権を争う仕組みではなく、共産党が唯一の支配政党です。選挙はありますが、政権交代が起こるような選挙ではありません。
また、どちらの共産党も、「自分たちは国や社会をよりよい方向に導く存在だ」という考え方を持っています。この考え方は、もともとマルクスやレーニンの思想に由来します。
そのため、政権の正しさを疑う声や、強い批判に対しては、厳しく対応する傾向があります。
ここまでは、中国とベトナムはよく似ています。
② 国の大きさと立場の違い
次に大きな違いを見てみましょう。
それは国の規模と国際社会での立場です。
中国は人口も国土も非常に大きく、経済力も軍事力も世界トップクラスです。そのため、中国共産党は「自分たちは世界を引っぱる大国だ」という強い意識を持っています。
この意識が、強い言葉や、時には事実と違うように見える主張を、国際社会に向けて堂々と発信する姿勢につながっています。
一方、ベトナムは中国に比べると国の規模は小さく、国際社会では「大国」ではありません。
そのためベトナム共産党は、できるだけ国際社会と対立しないようにふるまうことを重視しています。
③ 国際社会との向き合い方
中国共産党は、批判を受けても「自分たちの主張を曲げない」ことが多くあります。
歴史問題や領土問題でも、「中国の考えが正しい」という立場を強く押し出します。
これに対して、ベトナム共産党はとても現実的です。
ベトナムはアメリカ、日本、ASEAN(東南アジアの国々)など、さまざまな国とバランスよく関係を保とうとしています。そのため、強い言葉で世界を刺激することはあまりしません。
たとえ国内では共産党が強い力を持っていても、対外的には「穏やかで実務的」な態度をとるのがベトナムの特徴です。
④ 思想よりも「国を成長させること」を優先するベトナム
もう一つ重要な違いがあります。それは、思想をどこまで重視するかです。
中国共産党は、今でも「共産党の正しさ」や「体制の正当性」を強く打ち出します。
そのため、都合の悪い事実があっても、別の説明を作って押し切ろうとすることがあります。
一方、ベトナム共産党は、「思想よりも国の成長」をかなり重視しています。
市場経済を積極的に取り入れ、外国企業も受け入れ、「まず国民の生活をよくすること」を優先しています。
その結果、ベトナムは近年、経済成長が続き、国際社会でも「扱いやすい国」と見られることが多いのです。
⑤ 同じ共産党でも、行動は大きく違う
まとめると、こう言えます。
- 中国共産党とベトナム共産党は、思想の出発点は似ている
- しかし、中国は大国として強く自己主張する
- ベトナムは中堅国として、現実的で静かな外交をする
- そのため、中国の発信は目立ち、ベトナムの発信はあまり目立たない
「共産党政権だから同じ」ではなく、国の大きさ、歴史、置かれている立場によって、同じ共産党でも行動は大きく変わります。
「その国が何を一番大事にしているのか」を考えると、その国のことがよく見えるようになります。