大正十二年(1923)9月1日正午ごろ、大地震が首都東京を襲った。
関東大震災である。
この文章を書いている今日は、令和五年つまり2023年の9月1日、関東大震災からちょうど100年である。
私はかつて、父親の母から、関東大震災が起きたあと、南の空が赤くなり火事になっていることが分かった。
空の様子からすると、館林が燃えているのかと思った。
と聞いたことがある。
館林というのは、佐野の南隣にあるまちだ。車で20分ほどの距離である。
BARさんは館林だと思ったが、実は東京が燃えていたのだ。
きょう、関東大震災から100年の日の朝、この話を思い出した。
BARさんが見たのは、本当に関東大震災のときの火事だったのだろうか。
正午に揺れて、その後火災が発生しただろう。
夜まで、8時間も9時間も燃え続けていたのだろうか。
BARさんが見たのは、夜ではなく、昼間だったのだろうか。
BARさんは、明治の終わりくらいの生まれ。
大震災のときは十五歳くらいの、いい娘になっているから、見間違いということはなかろう。
本当は、見たのは昭和二十年の東京大空襲のときの火災だったのだろうか。
東京大空襲は、深夜零時に爆弾が落とされたから、夜空を炎が覆ったであろう。
そのオレンジ色の空の塊は、関東大震災の火事が見えているなら、佐野からでも見えたはずである。