【質問】
私が知っている中国人は40代50代が多く 20代30代の若者は知り合いがおりません。
20代30代の中国に住む中国人は、何をよりどころとして生きているのでしょうか?
日本人は年代を問わず 天皇皇后両陛下を、国民統合のよりどころとしてお慕い申し上げています。
特に令和の天皇皇后両陛下の時代、両陛下の国民に寄せる思いが国民にも伝わり、その傾向は一層強くなりました。
清朝時代までは中国にも 皇帝はいましたが、現代の中国では皇帝はおりません。
今の中国に住む中国人たちは、「自分たちは中国人である」という意識の源泉はどういうところにあるのでしょうか。
【回答】
中国の若い世代(20〜30代)は「何をよりどころにして生きているのか」という問いは、現代中国社会の核心を突くものです。
現代の中国の20〜30代が「中国人である」というアイデンティティの源泉としているのは、大きく次の4つです。
■1. 「国家の成功」=経済成長・大国化の体験
20代〜30代の中国人は、
自分の一生の中で国家が急激に豊かになった初めての世代です。
- 子供の頃はまだ貧しかった
- 気づけば世界トップレベルの経済大国になっていた
- 高速鉄道が国中に走り、都市が超高層ビルだらけになった
- 科学技術企業が欧米と肩を並べた
これは、ほとんど宗教に近いほど強力な心理効果を持ちます。
つまり、彼らのよりどころは
「成功する国家の一員である自分」
なのです。
日本のような“万世一系の象徴”ではなく、
「国家の成功体験」そのものが誇りとアイデンティティの基盤になっています。
■2. 「中国は強くなるべきだ」というナショナリズム教育
中国の若い世代は、幼い頃から
- 愛国教育
- 近代史における“屈辱の百年”
- 抗日戦争の英雄物語
- 欧米に抑圧されてきた歴史
を学校やテレビ、SNSで繰り返し見ています。
それは「日本を憎め」のような単純なものではなく、
「中国はもう二度と弱くなってはならない」という集団的な決意です。
日本で天皇陛下が人々の心をつなぐように、
中国ではこの「国の強さ」への願望と誇りが心をつないでいます。
■3. 「民族的な自負」=中華文明への誇り
中国人は若い世代ほど、
“中国5000年の歴史と文化”を世界に誇れるもの
として再評価しています。
たとえば
- 漢服(漢朝の衣服)の流行
- 古代詩文ブーム
- 中国伝統医学や武術への再関心
- 中国風メイクや美意識の流行
などは、その象徴です。
これは日本の“皇室を中心とした連続した歴史”とは形が違いますが、
文明そのものが精神的支柱になっている点は似ています。
■4.「中国共産党=国家そのもの」という政治文化
中国では、共産党は「政党」ではなく
“国家を代表し統合する存在”として位置づけられています。
これは日本人から見ると理解しにくいのですが、
多くの中国人は、共産党を
- 国家を発展させた主体
- 社会秩序を維持する存在
- 外国から中国を守る盾
という“国家の代位者”として見ています。
天皇陛下のように心のよりどころではありませんが、
政治的・社会的安定の象徴として機能しています。
■5. まとめ:日本と中国の「よりどころ」は本質的に異なる
●日本
- 天皇・皇室という“超政治的象徴”
- 歴史的連続性
- 無言の道徳・秩序
●中国
- 国家の成功(経済成長と大国化)
- 愛国教育が育てる“強国志向”
- 中華文明への文化的誇り
- 共産党による国家の統合
つまり、
日本の「精神の柱」は“歴史的・人格的な象徴”であり、
中国の「精神の柱」は“国家の成功と集団の自信”なのです。